開発状況

人工知能(AI)を活用した
医療ソリューションの開発



「医療分野へのAIの応用」は大きな可能性を秘めた医療テーマですが、まだ実用化例は少ないです。当社は、1)医療ニーズの把握と医療現場での開発を重視する視点、2)多くの医師や診療科とのネットワーク、3)医師主導治験で蓄積された経験やノウハウを基に、医師と医療機関、AI技術を有するITベンダー、出口の製薬・ヘルステック企業間を結ぶハブとなり、医療分野でのAI研究から事業までを繋げるエコシステム構築に取り組んでいます。薬機法に則った臨床試験も実施できるために、実地臨床に役立てられる本格的な医療ソリューション(診断、治療)の開発が可能になります。

人工知能(AI)を活用した 医療ソリューションの開発
人工知能(AI)を活用した 医療ソリューションの開発


呼吸機能検査診断

呼吸器疾患や呼吸器機能の検査の中でスパイロメトリーが最も重要ですが、その普及は進んでいません。結果(フローボリューム曲線)を解釈することが非専門医には難しいためです。当社は、京都大学及びNECソリューションイノベータ株式会社と共同で、スパイロメトリーの検査結果(フローボリューム曲線)から呼吸器機能や疾患を診断するAIアルゴリズムを開発しています。本検査から得られる曲線パターンを自動解析できるAIツールの開発により、検査の解釈が非専門医でも可能となり、呼吸器疾患の早期診断と治療が期待されます。2020年7月にスパイロメトリーのリーディングカンパニーであるチェスト株式会社と共同開発及び事業化に関する契約(ライセンス契約)を締結しました。

エラー判別



慢性透析支援

慢性透析支援

血液透析は主な腎不全患者治療です。通常、透析病院では数十名の患者を対象に、1名の医師、数名の看護師や臨床工学技士を中心に管理が行われていますが、人的資源は充分ではなく、透析中に発生する低血圧などの合併症の発生は、少ない人的資源を消費し、更には患者の生命予後にも悪影響を及ぼします。当社は、東北大学、東京大学、聖路加国際大学病院、複数の民間医療機関、及び日本電気株式会社(NEC)と低血圧イベントを事前に予測するAIアルゴリズムを開発しています。当社がもつ医療ネットワークから質の高い大量の医療データを収集できます。今後、医療データを更に増加し(数十万透析治療)、個別患者での強化学習を可能とする分析エンジンに改良することで、予測精度を向上させます。グローバルな血液透析医療機器メーカーであるニプロ株式会社と2021年5月に実用化を視野に入れ共同研究契約を締結いたしました。

糖尿病治療⽀援

糖尿病治療⽀援

糖尿病の血糖値を厳格にコントロールするためにはインスリン注射治療が必要です。インスリン治療の安全域は狭く、過剰投与により低血糖という副作用を生じるために、患者ごとに最適な種類と投与量を設定する必要があります。このためには、糖尿病専門医の知識と経験が必要で、非専門医がインスリン用量を設定することは困難です。当社は、東北大学及びNECと共同で、インスリン投与量を予測できるAIアルゴリズムを開発しており、インスリン投与量数単位の誤差内で予測できるAIアルゴリズムが開発しています。今後、更にデータ量の増加とAIアルゴリズムの改良を図り、精度の向上に取り組みます。現在は、インスリン投与量を予測できるAIアルゴリズムに注力していますが、将来的にはインスリンや多数の経口糖尿病薬の中から個々の糖尿病患者の病状や生活環境を考慮し最適な治療を選択するAIアルゴリズムの開発にも取組む予定です。

嚥下機能診断

高齢化社会の現代日本において嚥下障害は肺炎の大きな原因と考えられますが、簡便な嚥下評価法は存在しません。「話す」と「飲み込む(嚥下)」で使用する器官は共通部分が多く、「話す」機能の評価から「嚥下」機能を予測できる可能性に着目し、東北大学の複数診療科(耳鼻咽喉科、歯科、医工学部リハビリテーション科)と、健常者の発音による周波数と患者の発音の周波数の違いを分析し、嚥下機能を評価するAIアルゴリズムの開発に取組んでいます。

嚥下機能診断



小児発達障害(識字障害)診断

発達障害は小児の社会生活を損なう重要な疾患で、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害などがあります。これら発達障害は早期に治療や適切な教育を行ことで健常者と同じ社会生活を送ることが可能です。学習障害の1つである識字障害(ディスレクシア)の有病率は小児の2%と多く、音読に時間がかかり負担を強いる結果、学業不振や不登校に至る原因となります。当社は、東北大学及びNECと共同で、小児の文字や文章の音読データを元にAIを活用して、識字障害を評価するシステム開発しています。

ディスレクシアの感じ方
(出典:NPO法人EDGE; https://www.npo-edge.jp/)