開発状況

新型コロナウイルス肺炎治療薬


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療は社会的にも重要な課題です。感染者の多くは無症状または軽症で経過しますが、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者などでは重症化し、重症の肺炎や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至ります。

ワクチンの普及などにより患者数は減少していますが、ウイルスの変異など課題もあり、肺炎に至る患者がいなくなる事はありません。そのため、自宅待機時の悪化を防ぎ、入院患者の重症化を予防し、そして後遺症を減らす治療薬は必要です。当社は、これら医療の課題を解決できる内服薬を開発しています。患者の延命のみならず、医療現場の負担軽減、医療資源の有効活用に寄与したいと考えます。

前期第Ⅱ相試験

COVID-19肺炎に対するPAI-1阻害薬の有効性及び安全性を評価するために、国内7か所の医療機関で前期第Ⅱ相医師主導治験を実施しました(AMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(第4次)」で助成)。2020年10月に最初の被験者が登録され、2021年3月に完了という迅速かつ効率的な治験となりました。非盲検試験であったことから、有効性の検証は困難ですが、治験薬との因果関係の可能性がある重篤な有害事象はなく、COVID-19感染者でのRS5614の安全性が確認されました。

後期第Ⅱ相試験

2021年6月から国内主要医療機関(20施設)で100名の中等症肺炎患者を対象とするプラセボ対照盲検試験を開始しました(AMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(第5次)」で助成)。 患者登録が順調に進めば、2022年3月末には治験を終了する予定でしたが、2021年10月から12月にかけて新型コロナウイルス感染者数が激減し被験者登録が減っていましたので登録患者数も減少しました。そこで、治験実施医療機関の患者登録予定数を再検討し、2022年12月まで治験期間を延長することを決定しました。なお、2022年1月以後、第6波のために新型コロナウイルス感染患者は増加していますが、オミクロン株の感染率は高いものの中等症肺炎は少なく、本治験における患者登録は低調に推移しました。現在第7波に差し掛かっており、今後の治験登録者数の状況を注視しています。

米国ではノースウェスタン大学で類似のプロトコールで第Ⅱ相医師主導治験を実施しています。米国における新型コロナウイルス感染症が重篤のため、比較対象としてプラセボを投与する本試験への被験者合意取得が難しく、患者登録が遅れています。そこで、ノースウェスタン大学での治験は延長し、先行する日本の治験成績を確認した上で実施することとしました。

トルコ共和国メデニエット大学においては、安全性を確認するための前期第Ⅱ相医師主導治験(非盲検)を終了しました。在宅の新型コロナウイルス肺炎患者を対象として二重盲検試験の準備を進めましたが、現在のオミクロン株感染では重症化する例が少なく、設定した評価項目 (入院率)では実施が難しいため、対象患者や治験計画などを再検討しています。