ビジネスモデル

レナサイエンスの研究開発

事業ポートフォリオ

当社は、大きく医薬品と医療機器・プログラム医療機器の2つの事業ポートフォリオを手掛けていますが、これはリスクを分散し、早期の黒字化と将来の収益の拡大を目指すからです。医薬品事業は研究開発費や研究開発期間の規模が大きく事業リスクが高い分野ですが、上市後には高い収益が期待できます。
一方、医療機器やプログラム医療機器事業は医薬品と比べると小さいですが、研究開発費や研究開発期間の規模や事業リスクは小さく、比較的早期に当社収益に繋がります。

 

がんと抗加齢・長寿

医薬品領域では、PAI-1阻害薬RS5614(がん、抗加齢・長寿)やRS5441(男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬)の開発が主体です。PAI-1阻害薬RS5614は、免疫系を活性化しがん細胞や老化細胞の除去を促進させるなどの作用の他に、抗血栓、抗炎症や抗線維化など多様な作用を有しています。
がんに対しては、国内で複数のがん種に対する治験を実施中です(慢性骨髄性白血病第Ⅲ相試験、悪性黒色腫第Ⅲ相試験、血管肉腫第Ⅱ相試験、肺がん第Ⅱ相試験)。
まずは、日本で希少がん(悪性黒色腫、血管肉腫、慢性骨髄性白血病)に対する薬事承認を取得することにより、本医薬品の上市と臨床応用を目指します。並行して、肺がん、膵臓がんなどがん種の適応を拡大し、将来の大きな市場を確保するための第Ⅱ相試験を実施する予定です。

PAI-1阻害薬RS5614の抗炎症や抗線維化作用を活用した肺疾患領域での開発も進めており、新型コロナウイルス感染や全身性強皮症に伴う肺障害を対象とした第Ⅱ相試験を実施してきました。

医薬品領域では、今後国際的な規模での事業成長が期待される「抗加齢・長寿分野」での研究並びに事業にも注力します。これまでの抗加齢・長寿の医療は食事療法、運動療法、サプリメント・健康食品などが大半でしたが、今後はsenolytic drug(老化細胞を除去し、がん化を促進する事なく老化関連疾患を抑制する内服薬)など新たな医療価値の創出が必要です。
当社のプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)-1阻害薬RS5614は、内服で抗加齢・長寿の可能性を有するsenolytic drug候補であり、『ヒトが心身共に生涯にわたって健康を享受できるための新しい医療を創造する』という当社理念の実現のみならず、超高齢化という社会的及び医学的に大きな課題を解決することができ、さらには当社の企業価値の向上にも大きく貢献できます。
国際的な認知度や実績の蓄積が必要であり、XPRIZE Healthspanへの参加と入賞により本内服薬の抗加齢・長寿医薬品としての成果と評価が高まれば、国際的な事業展開が期待されます。
RS5441の実例(導出先のエイリオン社で男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬として開発中)もあり、今後PAI-1阻害薬RS5614の感覚器(皮膚科など)あるいは骨筋肉領域の医療用医薬品やOTC医薬品に関しても非臨床試験を進める予定です。

 

オープンイノベーション

当社は、公的資金や外部研究機関・医療機関のリソースを活用することで、開発コストを抑え、効率の高い開発を実践してきました。外部機関とのアライアンスをもとに多くのバリューチェーン構築を考えており、既存スタートアップ企業とは戦略、研究開発、人的資源管理などが異なります。実際に、少ない人的資源や経費で多くのパイプラインを広げ、モダリティの展開をしており、着実に成果は上がっています。
自社資源や社内環境のみにこだわるのではなく、むしろ外部資源や外部環境を積極的に活用し、効率的にイノベーションを創出する枠組みを構築しています。
大学や様々な異業種企業との連携や協業を基にオープンイノベーションを推進し、効率的な開発を推進していきます。
具体的には、東北大学との「Tohoku University x Renascience Open innovation Labo:TREx」、広島大学との「Hiroshima University x Renascience Open innovation Labo:HiREx」、ノースウェスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本研究室などオープンイノベーション拠点の設置、台北医学大学やサウジアラビアのキング・アブドラ国際医療研究センター(King Abdullah International Medical Research Center:KAIMRC)との連携などです。

 

基礎研究の重視

自社シーズに対する臨床応用の適応を拡大するためには、基礎研究を広く展開する必要があります。
自社化合物をオープンリソースとして基礎研究者に提供し研究いただくことで新たな用途の発見に取組んでいます。その中から、科学・医学的、事業性の観点から適切な適応疾患を選別し、医師主導治験で検証します。基礎研究成果は、共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、当社事業の基盤となる知的財産の確保に努め、当社が独占的な実施権の許諾を受けた後に事業化開発を進めます。

 

医師主導治験

当社は基礎研究から臨床試験まで広く研究を実施している医師(physician-scientistという)との共同研究を重視しています。基礎研究分野で共同研究を行っている多くの研究者は医師でもあり、自ら治験調整医師(治験責任者)として医師主導治験を実施することが可能です。
基礎研究と臨床研究を実施する研究者が同じである場合が多いので、基礎研究から医師主導治験まで一気通貫で実施、効率的な開発ができます。当社の治験は基本的に医師主導治験で実施しています。
当社は、これまで31に及ぶ医師主導治験の実績がありますが、医師主導治験には多くの利点があります。医師自ら治験を立案及び実施出来ますので、医療現場での課題や実情に合った試験計画や枠組みで実施できます。
自社リソースの少ないスタートアップ企業である当社が、患者数の少ない希少疾患や難治疾患である悪性黒色腫、慢性骨髄性白血病、血管肉腫、全身性強皮症の臨床試験を比較的短期間で患者登録し、パンデミックの緊急事態時に速やかに新型コロナウイルス感染症肺炎の臨床試験を実施し、肺がんや膵臓がんなど多くのがんの臨床試験に展開できるのも医師主導治験を活用している結果です。