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悪性黒色腫治療薬としてのPAI-1阻害薬RS5614開発に関連する記事掲載のお知らせ

当社は、東北大学、東海大学などの医療機関・研究機関と共同で、悪性黒色腫治療薬としてPAI-1阻害薬RS5614を開発しております。この度、共同研究者である東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学皮膚科学分野・藤村卓准教授、東海大学医学部先端医科学・八幡崇教授によるインタビュー記事が科学新聞(2023年9月29日号)に掲載されましたのでお知らせいたします。

(インタビュー記事掲載の背景)

当社では、悪性黒色腫治療薬開発に係る、PAI-1阻害薬RS5614とニボルマブ*1との併用による有効性及び安全性を確認する第Ⅱ相試験を医師主導治験として実施し、その結果、ニボルマブが無効な悪性黒色腫患者に対してRS5614を8週間併用することにより、ニボルマブとイピリムマブ*2の併用(奏効率13.5%)を上まわる奏効率24.1%が得られました。また、ニボルマブとRS5614の併用においては、治験薬との因果関係の可能性ある有害事象は、肝機能障害2件(5.9%)が発生しましたが、いずれも軽快・回復しニボルマブとイピリムマブの併用よりも安全性が高いことも明らかになりました。 この試験結果を受け、PAI-1阻害薬の免疫チェックポイント阻害薬*3としての基礎研究を主導された八幡崇教授、進行性悪性黒色腫第Ⅱ相医師主導治験で治験調整医師を勤められた藤村卓准教授が、科学新聞のインタビューでアカデミア発創薬の重要性をご説明されました。なお、科学新聞の記事は以下のリンクをご覧ください。

今後の開発予定としては、第Ⅱ相試験の結果を治験総括報告書として取り纏め、承認申請に必要な次相試験など規制当局との協議を進める予定です。また、このRS5614の免疫チェックポイント阻害作用に基づき、非小細胞肺がんや皮膚血管肉腫など他の固形がんに対する第Ⅱ相医師主導治験を実施します。

*1 ニボルマブ

プログラム細胞死 1(PD-1)という免疫チェックポイント分子を標的とする抗体医薬 (ヒト型抗ヒト PD-1 モノクローナル抗体)で、免疫系の抑制解除による抗がん作用を 狙った医薬品です。代表的な免疫チェックポイント阻害薬です。

*2 イピリムマブ

細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)という免疫チェックポイント分子を標的とする抗体医薬(ヒト型抗ヒト CTLA-4 モノクローナル抗体)で、ニボルマブとは異なる標 的の免疫チェックポイント阻害薬です。

*3 免疫チェックポイント阻害薬 免疫系が過剰に活性化して自己を攻撃させないように抑制する分子を免疫チェックポイント分子といいます。しかし、がん細胞は免疫系からの攻撃を回避するために、この免疫チェックポイント分子を悪用します。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫チェックポイント分子の作用を阻害してがんに対する免疫系を活性化する医薬品です。現在治療薬として用いられている薬剤はすべて免疫チェックポイント分子に直接結合しそれを阻害する抗体医薬です。