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世界肺がん学会(WCLC)での局所進行非小細胞肺がんを対象としたPAI-1阻害薬RS5614の医師主導治験概要の発表について

当社PAI-1阻害薬RS5614の局所進行非小細胞肺がん1)を対象とした医師主導治験の治験デザインに関して、2026年9月13日韓国・ソウルで開催された2026 World Conference on Lung Cancer(WCLC:世界肺がん学会)において、広島大学病院益田医師により発表されましたのでお知らせいたします。

局所進行(切除不能Stage III)非小細胞肺がんに対する初回標準治療は、化学放射線療法2)に続く1年間のデュルバルマブ3)地固め療法4)ですが、5年無増悪生存(PFS)率33.1%、5年全生存(OS)率42.9%にとどまり(N Engl J Med 2017;377:1919-29、J Clin Oncol 2022;40:1301-11)、多くの患者が治癒に至りません。さらに、化学放射線治療中にがんが進行する、あるいは放射線による肺障害が生じることなどにより、初回治療からデュルバルマブ地固め療法へ移行できる患者は約8割にとどまるとされ、免疫チェックポイント阻害薬(ICI) 5)に到達できない患者が一定数存在することも課題となっています。

当社はこれまでに、化学療法・免疫療法・放射線療法後に治療抵抗性を獲得したがん細胞ではPAI-1の発現が上昇し、PAI-1がアポトーシス回避、上皮間葉転換、腫瘍微小環境のリモデリングを介して抵抗性細胞の生存を支えるハブ分子として機能することを明らかにしています(Biomed J. 2026 Feb;49(1):100911)。また、マウス肺がんモデルにおいて、放射線照射後に残存するがん細胞がPAI-1を高発現して放射線抵抗性を獲得すること、PAI-1が化学療法薬への耐性にも関与することを確認しており、RS5614の併用によりこれらの耐性が解除され、放射線療法および抗PD-1抗体療法の抗腫瘍効果が増強することを前臨床モデルで確認しています(Mol Cancer Ther 2026;25:435-447)。加えて、PAI-1は放射線誘発性の肺線維化にも関与し、PAI-1ノックアウトマウスでは放射線照射後の肺線維化が抑制されることや、RS5614の新型コロナウイルス肺炎を対象とした第II相試験で肺傷害の増悪を抑制する可能性が示唆されていること(Sci Rep 2024;14:165、Exp Ther Med 2018;16:3070-6)から、RS5614は抗腫瘍効果の増強と治療関連肺障害の抑制を両立し得ると考えています。

複数の抗がん剤治療歴を有する既治療の非小細胞肺がん患者(3次治療以降)を対象に、ニボルマブとRS5614の併用投与の有効性・安全性を検討する第II相医師主導治験を6医療機関で実施し、2026年3月5日にその結果を開示しています。同治験では、RS5614併用による免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果の増強に加え、より早期の治療段階の患者でより高い有効性が確認されました。この知見を踏まえ、今回発表した治験では、より早期の局所進行非小細胞肺がん患者を対象に、初回標準治療である化学放射線療法とデュルバルマブ地固め療法にRS5614を併用する第II相医師主導治験を計画し、研究代表機関である広島大学病院をはじめとする国内12医療機関で実施しています。なお、本治験は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和8年度「臨床研究・治験推進研究事業」に採択されており(2026年3月9日開示)、最初の患者への投与は2026年7月16日に開始済みです(2026年7月17日開示)。

本発表は、RS5614の局所進行非小細胞肺がんに対する新たな治療戦略としての科学的根拠を示すものであり、初回標準治療である化学放射線療法とデュルバルマブ地固め療法にRS5614を併用することが、抗腫瘍効果の増強と治療関連肺障害の軽減を両立する新しい治療法となる可能性を提案します。

以上

1) 局所進行非小細胞肺がん:肺に発生するがんのうち、手術が難しいほどに局所的に広がっている状態を指します。

2) 化学放射線療法:がん細胞を攻撃する薬(化学療法)と、がんのある部位に放射線を照射する治療(放射線療法)を組み合わせて行う、手術が困難な場合の初回標準治療の一つです。

3) デュルバルマブ:PD-L1に結合して免疫細胞の攻撃力を高める免疫チェックポイント阻害薬で、主に非小細胞肺がん(特に根治的化学放射線療法後の維持療法)に使用されます。

4) 地固め療法:初期治療(例:化学放射線療法)である程度がんを抑えた後、効果を維持・強化する目的で行う追加治療です。

5) 免疫チェックポイント阻害薬(ICI):自己に対する過剰な免疫応答を抑制する免疫チェックポイント分子を標的とする抗体医薬です。がん細胞はこの分子を悪用して免疫系からの攻撃を回避します。