開発状況

        

ディスポーザブル極細内視鏡の開発(医療機器)



医療機器開発で重要なことは、医療現場のニーズやアイデアの重視です。シーズ技術が優れていても、医療現場のニーズがなかったり、医療現場のスペックに不適切であれば、医療応用は難しいです。そこで、開発の初期段階から事業化の視点も検証しながら、医療現場のニーズを出発点として問題の解決策を開発し、医療現場で最終医療機器(製品)をイメージして最適化開発を行い、イノベーションを実現する「バイオデザイン」という手法が、医療機器開発の人材育成プログラムとして米国スタンフォード大学で開発され、2015年から東北大学、東京大学、大阪大学から開始されました。

当社は、医療ニーズの把握と医療現場での開発を重視する視点、多くの医師や診療科とのネットワーク、医師主導治験で蓄積された経験やノウハウを活かし、バイオデザインの手法も取り入れた医療機器開発に取り組んでいます。



最初の実施例として、ディスポーザブル極細内視鏡を下記に例示します。


■腹腔内を非侵襲的に見ることができるか(医療の課題とニーズ)

腹膜透析は透析施設に通うことなく在宅での体内老廃物の浄化が可能なために、患者さんにとって比較的ストレスがかからない方法かつ、医療経済的にもメリットのある治療法です。しかし、長期的に行うと腹膜が劣化し、発見が遅れると腹膜硬化症という命に関わる重篤な合併症を引き起こす事があるので、利便性があるのにも関わらず、腹膜透析は5年程度で中断する場合が多くあります。腹膜の状態を確認する方法としては、開腹手術もしくは腹腔鏡による観察しかありません。より簡便に、患者さんの負担なく、腹膜の状態を観察したいという医療ニーズが医療現場からあがっています。



■開発中の医療機器(診断のアイデアとコンセプト)

腹膜透析を受けている患者さんは、透析液を注入するチューブを腹膜に挿入しています。この細いチューブを通して挿入できる極細内視鏡があれば、非侵襲的に腹腔内を観察できるというアイデアと診断のコンセプトを着想しました。

医師の意見をもとに、ファイバースコープの技術を有する企業と連携し、医療現場のスペックに適した、1 mm程度の極細内視鏡を開発しました。内視鏡の先端部分は使い捨てのディスポーザブルとし、衛生面を重視した製品とし、医療経済的に負担にならず、手技的にも扱いやすい製品を開発しました。東北大学、順天堂大学、東京慈恵会医科大学、東京大学、東海大学、福島医科大学などの医師・医療機関と共同研究を行い、順天堂大学と東京慈恵会医科大学で医師主導治験を実施、現在、導出と薬事承認申請の準備に入っています。本医療機器は、従来の消化器系の内視鏡とは異なるコンセプトで開発されたもので、胃瘻チューブ、尿道バルーン、気管チューブ、注射針からの挿入が可能で、様々な臨床的有用性も期待できます。