開発状況

        

『メンタルヘルス』に対する取り組み



社会が複雑になり多くの人がストレスを抱えて生活していますが、身体的な病に比べて、メンタルな病に対する医療は未だ充分とは云えません。特に、子供、女性などのメンタルケアは社会的にも重要な課題です。当社では、小児の自閉スペクトラム症、女性のうつ病(月経前症候群/月経前不快気分障害)、統合失調症など、社会的にも喫緊のメンタルな病に対しての新しい医薬品の開発に取り組んでいます。



■不安やストレスに対する医薬品を開発したい(医療の課題とニーズ)

私たちが喜怒哀楽を感じたり、さまざまなことを考えたりする時、脳内では「神経伝達物質」が行き交っています。神経伝達物質は神経細胞と神経細胞を接続する部分(シナプス)から分泌され、ほかの神経細胞へ情報を伝達します。神経伝達物質には様々な種類があり、その中でアミノ基を有した物質を脳内モノアミンと言います。代表的なものとして、抗ストレス作用を有する γ-アミノ酪酸(GABA)、精神安定をもたらすセロトニン、意欲や多幸感を高めるドーパミンなどがあり、これらは自閉スペクトラム症、月経前症候群/月経前不快気分障害、統合失調症などの精神疾患の発症に関与することが知られています。


■開発中の医薬品(治療のアイデアとコンセプト) 

当社で開発中のRS8001(ピリドキサミン)は、ビタミンB6の1つのタイプです。水溶性のビタミンで、極めて安全な医薬品ですが、日本を含めて先進国では未承認の医薬品です。ピリドキサミンは、GABAやセロトニンの産生や代謝を改善し、脳内でのこれら神経伝達物質の増加をもたらすことが、化学反応や動物試験から推測されています。実際に、ピリドキサミンを投与された動物(ラット)は、興奮や刺激(ストレス)に対して安定であることが証明されました。


現在、3つの異なる精神疾患に対して、開発(医師主導治験)を実施しています。


□自閉スペクトラム症 

対人関係が苦手・強いこだわりといった特徴をもつ発達障害です。一部の患者さんでは、感覚がとても敏感になり、生活に大きな不便が生じます(感覚過敏)。例えば、聴覚過敏で特定の音がものすごく苦手、触覚過敏で特定の肌触りの服は絶対に着れない、視覚過敏で明るい屋外をとてもまぶしく感じるなどです。現在、 東北大学、大阪市立総合医療センターなど13の医療機関と協力して、第二相試験(医師主導治験)を実施中です。


□月経前症候群/月経前不快気分障害

月経が始まる数日前から不快な気分に陥り、月経開始の前後や直後に回復する障害です。感情の症状(例:突然悲しくなる、怒りっぽくなる、抑うつ気分や絶望感)と、行動の症状(例:仕事や学校、趣味などへの興味が薄れる)、身体の症状(例:だるい、疲れやすい、過食、過眠または不眠など)が生じます。現在、東北大学、近畿大学、東京医科歯科大学、東京女子医科大学などの医療機関と協力して、第二相試験(医師主導治験)を準備中で、2020年度末から開始予定です。


□統合失調症

幻覚や妄想などの症状に伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなります(病識の障害)。松沢病院での前期第二相試験(医師主導治験)を終了し、現在企業治験での後期第二相の多施設共同治験を実施中です。